私と結婚してください。
「ま、いきなりそんなできるようになるわけもないよね。
理数科とはスタートが何年も遅いんだし。」
なんて話をしてたら車は停まった。
もう我が家へと到着したんだ。
「はやっ」
「こんな近いなら寮入る意味あんのかよ」
……いつもバスなら30分かかるのに…
自家用車ならこんなに早いのか!!
「想像よりでかい家だな」
「一体どんな家を想像してたの」
運転手さんがドアを開けてくれて、凰成が降りて、凰成が私に手を差し出して、私がそれに手を添えて降りる。
もうそんなレディ扱いにも慣れ、凰成もそこまで成長したというか、レディに見られるまでに私が成長したというか……
本当、私も凰成もかわったもんだ。
ま、相変わらず助手席の椎依は自分で降りてるんだけどさ……
助手席もドア開けてくれればいいのに。
なんて贅沢な願い?
「ありがと」
「おう」
なんてやっと降りた頃には椎依がもうインターホンを押してるし。はや。
「おかえり~~!!」
……そして玄関からお母さんが飛び出してくる早さな。
しかも門まで走ってくるし。なんなんだ、あのテンション。
「「ただいま!」」
門が開けば
「おかえり!!」
お母さんが私たちに抱きついてくるし。
こういうのもちょっと久しぶりだ。帰ってきたなぁって実感する。
「あ、お母さん
凰成だよ。吉良凰成。」
私が凰成を紹介すれば
「初めまして」
凰成が営業スマイル的な作られた笑顔をお母さんに向ける。
なんていうか…ビジネスっていうか、この人うまく立ち回れる人なんだなって感じ。
「いつも希依さんにはお世話になっています」
思っていないことがポロポロと口から溢れてってるもん。
「いえいえ、こちらこそこんな取り柄もない娘を拾っていただいてありがとうございます~!
さ、狭いけどどうぞ!」
「お邪魔します」
・・・なんかな。あれだな。
さすが吉良家のお坊っちゃま。お母さんと凰成じゃお母さんのが下に見える。
なんなんだろな。凰成のが偉く見える。