私と結婚してください。
「だからさ、希依ちゃんが俺の姫になれば全てうまくいくよ。
凰成とだって友達のままいられるし、めぐちゃんの応援だってできるよ
ね?悪い話ではないと思うんだけどな。
もし希依ちゃんが俺を選んでくれたら、将来だって約束できるしさ!」
…将来、ってことは私が竜司くんと結婚…ってこと?そしたらきっとうちの会社も安泰だね。
………でも、
凰成の世話をやめて、竜司くんの世話をする
凰成の部屋から、竜司くんの部屋へいく
なんか…、違う。違うんだよ
「……ダメ?」
「ダメっていうか、そもそもさそれって
私が竜司くんの事好きじゃない時点でうまくいかない気がするんだけど」
「でも、このままだと結婚する予定の嫌いな男よりは俺の方がましじゃない?」
……それ言われたら、まぁそうだけど…
竜司くんの方が何百倍もましだけど……
「希依ちゃんにとって、悪い話じゃないと思うんだけどな~
俺の姫になったら勉強だって教えてあげるし、喧嘩だってしないと思うのに」
……そう、かもだけど…でも
凰成といる時間が今では楽しくなってきてるから、今はまだ離れたくないよ。
「……私が竜司くんの姫になったら、凰成は一人になるの?」
「凰成はきっとめぐちゃんを姫にする。
今、二人見てきたら?きっと楽しそうにバスケしてるよ。
希依ちゃんには見せない笑顔を、めぐちゃんに見せてると思うよ」
━━━ズキン、
……私に見せない笑顔、か…
はは、私なにそんなことで胸痛めてんの。
でも……
「ま、見に行ったらきっと希依ちゃん傷ついちゃうから、行かない方がいいと俺は思うけどね」
「……傷つく?私が?」
「だって希依ちゃんの中ではもう凰成は特別な存在になってるんでしょ?
それが恋なのかなんなのかはわからなくても、少なくとも
俺や頼、伊織とは違う感情を希依ちゃんはもう抱いてる。」
特別な感情、か……
そうなのかな…でも、凰成の世話をめぐに譲るのは
たとえ相手がめぐだったとしても、絶対に嫌だ。
凰成の隣にはやっぱり私がいたい。
「でもね、凰成にそんな気持ちを抱いても無駄だから。
それなら気づかないうちに俺の姫になった方が希依ちゃんのためだよ?」
「……どうして?」
「凰成には将来を約束した相手がいるから」