私と結婚してください。



「希依ちゃん。」


ビクッ

び、びっくりした……


「…なんか用ですか」


前から私に向かって歩いてくるイケメンB。
確か…こっちが神崎竜司。

あっちが吉良凰成って言ってたもんね。


「女の子が泣いてて気にならない男はいないと思うけど?」


「そう言いながら私を泣かせた張本人は来てませんけどね。」


「あいつは特別なの。
あいつはあんまり愛に恵まれなかったからさ~」


「……どういう意味ですか?」


「あれ?気になる?」


「別に特別な意味はありません。
どうしたらあんなやつになるのか気になっただけで。」


「はは、そっか。
……あいつは小さい頃からずっと一人でさ。
両親はずっと海外で、凰成は一人で育ってきたんだよ。
怒られたこともないだろうし、ずっと甘やかされてて。

見捨てられたとかではないし、仲も悪くはないんだけどさ
凰成は親相手にちょっと他人行儀なところがあって。
それが小さい頃からずっとだったんだよね。
たぶん、一人が嫌だからこの全寮制の学校を選んだんだと思う。」


ずっと一人、か……
双子の私には無縁なことかもな。

私にはずっと椎依がいたし…
椎依も私にくっついてこの学校に来たくらいだし…


「中1ん時には凰成に彼女ができたんだけど、その彼女が本当は金目当てだったってことに気づいてさ

凰成はそれから他人とまじに関わることをやめたんだよね。
たぶん、俺だけだよ。」


「……どうしてあなたはいいんですか?」


「だって俺んちも吉良家に負けないくらいの資産家だから。
俺も凰成と一緒。金に興味ないんだよね。
俺は彼女とかできたことないし、凰成以下かもだけど。」


金目当て、か……


「…その悔しさはわかるかもしれない」


「え?」


「昨日言ってたでしょ。椎依は軽い女だって。
でも、椎依もあなたたちと同じ。

うちの小さな会社だけど会社経営してるからお金は普通よりもあるの。あなたたちほどではないけど。
だから椎依、すぐに彼氏にプレゼントとかしちゃって、結局みんなうちのお金が目当てで椎依はそれを信じないで知らないふりするけど
いつも限界が来て男にうざがられる質問してフラれる。

椎依が軽いわけじゃない。
男が自分勝手なだけ。それなのに勝手に軽い女とイメージつける。
本当はそんなことないのに、自分勝手な男たちのせいで、椎依ばかりが傷つくなんて私は絶対に許さない。」


「あー、だから昨日あんなに怒ってたんだ。」


椎依はただ、18歳で結婚しようって本気だったんだ。
私がこんなんだから…自分がお母さんたちを満足させようって、必死になってただけなんだよ。



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