私と結婚してください。
「ママ、まだそんなこと言ってんの?
希依には絶対無理だって。
そんな伝統は私がしっかり受け継ぐから大丈夫だよ。」
「あら、椎依(しい)おはよ。
今日は早いのね?」
「うん、崇の朝練見に行くんだ~
それに今日は荷物も多いしね。」
かわいい顔をして、かわいく笑う双子の片割れ、椎依。
おんなじ顔のはずなのに、どうしてこんなに違うのか。
神様っていじわるだ。
「ほら、希依も椎依を見習っていい男、掴まえてくるのよ!
うちは代々、長女が18歳で結婚してきてるんだから。」
……そんなしきたりがある我が家の長女はこんなちんちくりんにして、
次女である椎依をかわいく作るなんてさ。