私と結婚してください。
「んじゃ始めるぞー」
先生のその声に、竜司くんと凰成は位置につく。
もちろん私も。
そして始まるジャンプボール。
今回も安定に凰成がボールに触れ、私へとボールが落とされる。
……のに
「もーらい。」
「・・・え!?」
私へとボールが落とされたはず。
なのに、ボールはめぐに奪われていた。
あまりに予想外のことで動けずにいたら、めぐから竜司くんへとパスされたボールはあっさりとゴールへ運ばれていた。
「・・・希依」
「ご、ごめん!!」
凰成はというと、追いかけもしなかった私をひどく睨み付けていた。
お前はいったい何をしてるんだと、はっきりいって殴られるんじゃないかというくらい、怒った表情をしていた。
「……まぁ、あいつは確かにうまいな」
そう小声でボソッという凰成の言葉に、私の胸が締め付けられる。
そうやって認められることが、私にはない。
春からずっと一緒にいるのに
そうやって認められたことが、私にはまだない。
それなのに、まだ姫になって1ヶ月半しかたっていないめぐはバスケを認められていて
悔しくて悔しくて、握りしめた拳に、力が入った。
「ほら、希依もいくぞ」
そういって凰成はボールへと走る。
……私も、負けてなんかいられない。
負けてなんか、いられない。