私と結婚してください。
______数分後
「…元気を出してください、希依さん」
結局、私はあれから全くボールに触ることはなかった。
凰成が出してくれたバスも絶対めぐに奪われ、私もめぐの真似をして私も奪いに行くけど。でも全く歯が立たず、ボロ負けだった。
そのあとすぐ、凰成に外に呼び出され、こっぴどく怒られた。
『体育は得意科目じゃねぇのか!!』と、もうそれはすごい勢いで。
……得意だよ。得意だけどさ…
でも、めぐは子供の頃からずっとバスケをやってたんだよ。
そんなめぐに、敵うわけないじゃん…
体育でうまいレベルの私と、バスケに何年も力を入れてきためぐ。
そんなん、私が敵うわけないじゃん…
怒られあきれられ、戻った頃には伊織くんたちの試合も終わっていて、私はそのまま頼くんのところへ来たんだけどさ…
頼くんも、私にかける言葉は見つからないみたい。
……そうだよな。あんな試合、あんなプレイに、なにも言えないよな…
伊織くんなんて『怪我しなかっただけ成長してんじゃん』と、それだけ。
でも、それに怒る気力も今の私にはない。
・・・罰ゲームすら、なかった。
今だって、ここに凰成の姿はない。
どこに行くにも私に声をかけて出ていくのに……
「ごめんって、希依
竜司のやつが絶対手加減するなって言うから~…」
・・・なんなら、めぐが1番私を励ましている。
もうどうなってんのよ、ここは。
「希依ちゃん、ちょっといい?」
「……竜司くん」
そんな私の肩を、今度はさっきまで姿がなかった竜司くんが叩いた。
「めぐちゃんはここにいて」
それだけいって、竜司くんは私を立たせて体育館から連れ出した。