私と結婚してください。




「交換?誰とだ?」

「凰成と!な、凰成いいよな?」

「……あぁ」

「ってことで、今から俺と凰成やっていいよね?」

「わかったよ。
じゃあそっちのコートで、審判は…御縁、頼むわ」

「はい」


・・・え、ちょっと待って。


「…パートナー交換!?
は、なにそれ!!」

「希依さん…
パートナー交換とは、姫を交換して試合を行うことです。
これで相手の弱点を掴んだりもするので、神楽ではよく行われていることなんです」

「へ、へぇ…そうなんだ」

よくあること…そっか。


「ってことで、希依ちゃん
さっきいったこと忘れないようにね?
バンバンボール渡すから」

「あ、うん!
…竜司くんの足手まといにならないように頑張ります」

「はは、パートナー交換はお遊びみたいなもんだから、そんな力入れなくて大丈夫だよ」


そ、そっかぁ…お遊び…
…うん、じゃあ楽しんで頑張ろっと。







そして試合中、ゴールの近くでスタンバっとけば竜司くんがボールを運んできてくれて、
私はパスされたボールを入れるだけ。

竜司くんのスピードが、敵チームにいるときは本当に怖かったけど、味方チームだと思うと本当に心強くて、安心してシュートを入れることができる。


『ピーーーーっ』


大きな機械音で、試合終了を告げる。
そして得点を見ると、接戦だったけどわずかに、私と竜司くんが勝っていた。


「や、った…勝った」

「やったね、希依ちゃん。
あの得点、ほとんど希依ちゃんが決めたんだからね?」


その言葉に、涙が出そうなくらい喜びが溢れ出す。


「やったー!勝ったんだー!!」


嬉しさのあまり、竜司くんの手を掴んでぴょんぴょんと跳ねてしまう。でも、それを抑えることもできなくてひとり、ハイテンションのままコートから出た。


「…じゃ、凰成
約束通り、希依ちゃんを俺の姫にするよ」

「…あぁ、わかった」


………え?ちょ、待って…?
聞き、間違い…?



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