私と結婚してください。
「意味、わかんないんだけど……」
「さっき、凰成と約束したんだよ。
希依ちゃんに怒ってる凰成見てさ、俺なら希依ちゃんをそんなに責めたりしないなって思って。
俺なら、希依ちゃんのいいところを引き出してあげられるのにって。
だから、凰成に言ったんだよ。
俺が希依ちゃんとペアを組んで、もし俺らが勝てたら
希依ちゃんを俺にちょうだい、ってね。
それを凰成が許可したってこと。
そんな短時間で希依ちゃんが成長するわけないって言って。
で、この試合で俺と希依ちゃんが勝ったから、希依ちゃんを俺のパートナーにするってなったの」
「なに、それ……
そんな話聞いてないし…そんな勝手に……」
そういう私に、笑顔の竜司くんは冷めた目をして
「姫に決定権がないって言ったのは、希依ちゃんだよ」
そう、囁いた。
その冷めた声に、私の体は鳥肌がぶわっとたつ。
「……なんて、ね。
ウソウソ。ちゃんと希依ちゃんにも、選ぶ権利をあげるよ」
「えっ…?」
「1ヶ月、お試しで俺の姫をやるの。
その1ヶ月で決めてほしい。俺にするか、凰成にするか。
1ヶ月、俺の姫をやっても凰成がいいなら帰ればいい。
でも、もし1ヶ月間で俺の方が良くなったら来月、正式に姫の変更手続きをする。
ま、それまではパートナー交換システムに頼るけど
まぁ俺らは鍵も共有だし、部屋さえ移動すればなんとかなるっしょ。
成績だけはどうにもならないけど、俺の姫をしてれば凰成の成績に悪くは影響させないから。
それで1か月後、俺の意思、希依ちゃんの意思、凰成の意思、めぐちゃんの意思で、今後の姫を決める。
だから希依ちゃん、俺にもチャンスをちょうだい?」
そう言って微笑む竜司くんに、凰成はなにも言わない。
これはもう決定事項なのかと、改めて思わされた。
「……どうせ、拒否権なんてないんでしょ」
「はは、そうだね」
「竜司くんにいらないって言われるように頑張る」
「そしたら凰成の成績はどんどん下がっていくね」
うっ……
そ、だ…主人と姫はすべてが連帯責任……
正式に姫の変更するまでは、私の不良は凰成の責任になるんだ……
「ま、仲良くやろうね」
もう、この人の考えが怖くて仕方ないよ……