私と結婚してください。
セレブのサプライズ
それからの授業はずっと竜司くんの隣だった。
初めて座るこの席は本当に違和感しかない。
向こうの方を見れば、凰成とめぐが楽しそうに笑顔で会話をしていたりと、私には見せない顔をめぐに見せてる凰成がいて
……それが、本当に楽しそうで
また、前竜司くんに言われたことを思い出してしまう。
……この方が『丸く収まる』か…
「なぁ、希依ちゃん希依ちゃん!!」
「ん?」
そして、私の後ろの席には伊織くんと頼くんがいる。
……ま、そのおかげもあってこれはこれでかなり楽しいんだけどね…
「見てこれ!!」
「んー?」
伊織くんから差し出された手には伊織くんのスマホ。
その画面には、駅前に新しくオープンしたアイスクリーム屋さんの写真だった。
「俺今日暇だし、ここ行きたいんだけど!!
竜司も行きたくね!?」
「あ、行きたい行きたい」
あ、行くんだ。
めぐは『めんどくさいんだって』って言ってたのに…
なんだ、普通に行くんじゃん。
「凰成~~!」
凰成を呼ぶ伊織くんの声に、体がビクン、と反応する。
きっと凰成がこっちを見ている。……でも私の体はどうしても向こうを向けない。
竜司くんも目線は向こうなのに、私は背中を向けたまま、動けなかった。
「今日アイス食べ行くんだけど行かねぇ!?」
「・・・俺はパス」
「えー、まじかよー」
……凰成は来ないんだ
でも、その方がいいかも…めぐと仲良くしてるところを見るよりかましかもな…
「あ、じゃあ凰成!
私のスリッパ買いに行こうよ!
希依には買ってあげてたじゃん!」
えっ……
「はぁ?お前も持ってないのかよ
仕方ねぇなー」
……そっちは行くんだ。
そうだよね。
…めぐも、もう凰成って呼んでんだな…