私と結婚してください。
そして放課後、私は竜司くんと、凰成の隣にある竜司くんの部屋へと帰った。
「めっちゃ嫌そうな顔してるね」
「えっ…、そうかな?」
「まぁ体育の時に比べればマシだけど
そんなに嫌がられたらさすがに傷つくんだけど?」
竜司うんは儚く笑ってそういった。
この人もこんな顔するんだなと、もう半年以上一緒にいるのに、そんな新たな一面を見せられた。
「ん、どうぞ」
「…お邪魔します」
鍵をあけ、ドアまで開けてくれて部屋に入れば、めぐがせっせと荷物をまとめていた。
「あ、ごめん!もう行くから!」
そっか、荷物…私も取りに行かなきゃなのか…
……ただでさえめんどくさい作業なのに、凰成の部屋から竜司くんの部屋に移るためなんて思うと余計に憂鬱な気分でしかないや…
「……希依ちゃんも、荷物取ってきたら?」
「…んーん、まだいい。
先に竜司くんに紅茶でも淹れるね。
竜司くんはどんなんが好きなの?」
そんな会話をしながら、慣れないこの部屋になれそうと、戸棚や引き出しを開けていく。
……今、あっちの部屋にいったら、凰成とめぐがまだ部屋にいるだろうから…
もう少し、ここにいたかった。
竜司くんは凰成と違って「ロイヤルミルクティーがいい」とちゃんと指定してくれたから、私はその通り淹れた。
なんせ、凰成だと『なんでもいい』とか『お前のセンスに任せる』とかだから…
「とりあえず、課題でもやる?」
「ん、そうだった。
今日は大嫌いな英語だけど、竜司くんが英語得意だしなんとかなりそうで助かるや」
「はは、お安いご用ですよ」
と、とりあえず明るくいつも通り振る舞った。
さっき、あんな表情をした竜司くんを見てしまったら、この人のことを嫌がってばかりいるのはやっぱり失礼だから。
なに考えてんだかよくわかんないけど、それでも今までずっと仲良くしてきて、仲のいい大好きなお友だちには変わりないからね。
ロイヤルミルクティーのいい香りに癒されながら、私たちは課題を進めていく。
竜司くんがいると課題もホイホイと片付いて本当に助かる。
頼くんの時よりも楽々だった。