私と結婚してください。



秋の空気が気持ちいいからということで、外のベンチでアイスを食べる。
赤や黄色に染まる葉が見えるわけではない。

それでも、なんとなく秋っぽい空気だ。


そしてアイスを食べ終わった後、竜司くんが

「今日希依ちゃん誕生日らしいからプレゼント買いに行きたい!!」

とか言い出し、そんなのいいのに…と反論するも、伊織くんも頼くんもその意見に賛成したため

「希依ちゃんはそこら辺で待ってて!」

ということで、私は1人でカフェで時間を潰すことにした。
こういう1人の時間が、神楽に来てから本当になくて久しぶりで…
こんな時間もいいなぁ…と、思いつつ


はっきり行言って、あの3人だけで大丈夫なのか!?という心配の方が勝って気が気ではない。
もうスマホ握りしめ、なにかあったときすぐに出動できるように、コーヒーもさっさと飲み干した。


道に迷ってないかな、とか
変なのに誘拐されないかな、とか……

そもそもちゃんと買い物できるのか!?とも不安で…


大丈夫かな、大丈夫かなと、ヒヤヒヤしながら1人で外を眺めていたら
すごく見覚えのある人たちが通った。


勝手に目で追ってしまう凰成に、その隣に並ぶめぐ。
……それと、なぜか椎依までいる。

え、なに?あの組み合わせ。


あっという間に通りすぎちゃったけど…なぜ、あそこに椎依までいる?
あれ?凰成とめぐってスリッパ買いにいったんだよね?

え、なんで椎依までいんの?


……まぁいいや…


と気が抜けたら
私のスマホに、頼くんから電話がきて

「は、はい!!」

お店の中だというのに、大声で電話に出てしまった。


『頼です。お待たせして申し訳ありません』

いえいえ、そもそも私のためのお買い物なんだから…


そして買い物が終わったということで、さっき別れたところまで戻る。
そこにはちゃーんと3人いて、もうその姿見ただけでホッとした。
ちゃんと戻ってこれたんだな、と…なんかもうこの人たちは不安要素がありすぎて、常に一緒にいなきゃいけないと思っちゃう私も、とことん姫に染まったなと思わされた。


「希依ちゃん!あとでケーキも届くから!」

「え、届くの?買ってきたんじゃなくて?」

「そ!
帰ったら凰成の部屋でパーティーだな!!」

「いやなんで凰成の部屋なの」

「だってあそこが一番広いから!」

「・・・普通に食堂でいいんじゃないでしょうかね」


めちゃくちゃ張り切る伊織くんに、私の声は届いているのか…よくわかんないけど
でも、今日の竜司くんの夕食はトンカツをすでにオーダー済み。
……いいのかな、トンカツで…


ま、いっか。


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