私と結婚してください。



車が動いてすぐ、なんかノックする音が聞こえ、かと思えば

「川瀬、ノートとペンを」

という頼くんの声が聞こえた。
まぁたぶん状況的に車前方との境にある小窓をノックして、頼くんの家で働いている”カワセ”という人にノートとペンを借りたということだろうけど

……頼くんの敬語じゃないとこ、初めて聞いた…


そこからはペンのキュッキュという音だけが聞こえているから、たぶん筆談しているこの状況…
まぁ一応私の誕生日をお祝いしてくれる計画みたいだから、私には内緒というか、サプライズ的なことを企んでくれている…と思われる。


私も普通の女子高生なわけだから、目隠しだけでは大抵のことが予想できてしまうよ…
小学生とかだったらこの状況にワクワクするのかもしれないけど…

こういうときこそ、めぐや椎依に頼ればもっとうまくやるのにな……


ま、こんなビニールハウス育ちのお坊っちゃまにそんなところまでは期待しないけどさ。


「希依さん、一度私の家に寄るため、少し到着が遅れる予定です」

「……この目隠しはずっとこのまま?」

「…申し訳ありません
まだ希依さんには私の家をお教えすることができなくて…」


・・・なんだ、それ。
え、頼くんの家って一般人が知ってはいけない系なの?
私は知ってはいけない系なの?

お金持ちって、そういうもん?
そういえば凰成の家もわからないけど…でも頼くんは私と仲良くしたいって思ってくれてるはずなのにな…


私だけ、仲間外れか…



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