私と結婚してください。
姫の存在ーーー凰成side
希依の誕生日から数日、
あれから希依はいつも楽しそうだった。
…前から楽しそうではあったんだけど、以前にも増して希依の笑顔が増した。笑い声が教室に響くようになった。
「え!!ババ抜きってジョーカー持ってるやつが勝つんじゃねぇの!?」
「んなわけないでしょうが!」
・・・まぁ、だいたい伊織と騒いでんだけどさ…
「凰成、なに見てんの?」
「あー、今日もうるせぇなと思って」
希依が竜司の姫になってから、俺は希依に近づけなくなった。
前なら隣にいることが当たり前だったのに、今では竜司の視線が怖くて
俺から離れるくらい、なにもできなくなった。
毎回誘ってくれる伊織に、毎回断る俺…
希依の誕生日の時だって、結局頼のおかげで俺も参加できたし、希依とも話せたけど
……頼がいなきゃ、俺はなにもできなかった。
「あそこ、まーたトランプしてんの?」
「みたいだな。
今はトランプがブームなんじゃね」
ちょっと前はオセロをやっていたけど、みんなでできなからといって伊織が却下したんだよな。
「よし、次は大富豪やろ!」
「は?え、なにそれ」
「トランプのゲーム!
一番最初に上がった人が大富豪で、最後に上がった人が大貧民!
ルール説明するよ~」
……希依と竜司は、俺が知らないことでどんどん仲良くなっていく。
「ところでさー、竜司って希依のこと好きなんでしょ?」
「……みたいだな」
「だったらさ、凰成も希依を竜司に譲ってあげればいいのに。
希依も楽しそうじゃん」
……希依を竜司に譲る、か…
確か、竜司はもう希依に気持ち伝えたんだよな…
希依はそれ聞いて、どう思ったんだろ
…希依は、竜司のことをどう考えてんだろ。
あー、俺
いつの間にこんなダセェこと考えるようになったんだろ。
姫なんて、俺には必要ないと思ってたのに
「ってかさぁ、うちらってなんで”姫”って愛称なの?
姫って普通大事にされる側の人じゃん?
うちらはどちらかと言えばメイドじゃない?」
「あー、確かにそうだな」
「絶対名付けミスでしょー」
…あれ、でも待てよ…?
確か親父が前…