私と結婚してください。
第6章

私にもできること




「え、音楽?
今から音楽なの?」

「はい、そうですよ。
その準備は姫がするんです」


私と頼くんとめぐは3人揃って音楽室へと向かう。
正直音楽室なんて初めて行くんだけどね…

頼くんだって私たち同様神楽1年目なのによく知ってるよなぁ…
もしかして、マニュアルに全部書いてあるのか…?


「っていうか今まで音楽とかなかったよね?」

「はい、秋だけの特別授業です。
音楽だけでなく、春には茶道、夏には書道があったように、秋は音楽なんです」

「へぇ…そうなんだ」


茶道に書道ね…確かにあったわ。
書道も茶道も小さい頃やってたし、音楽も得意科目だから今回も高成績もらえそうだな。


「こちらです」

「……おーーっ」

「めっちゃ普通」


神楽の音楽室は一体どんなところなんだと思ったけど、ここはいたって普通の教室だった。
唯一普通の教室と違うところといてば、ここの机と椅子は動かすことができる。
いつもの教室は机と椅子が固定されてるからね…


「こちらの準備室から、その日使うものを用意するんです」


そういって、音楽室奥の扉から出ると、そこにはまた廊下が続いている。
…どういうこと?
廊下から音楽室に入って、音楽室の後ろのドアにはまた別の廊下が存在するって…


「…なに、この空間」


それはめぐも私と同じように、不思議な光景だったらしい。


「準備室はこちらになります。
その先のドアは個々の練習部屋となります」

「は?…練習部屋って…
え、じゃあ授業は音楽室だけど、練習するときはこっちに移動するってこと?」

「はい。
まぁ授業という授業は恐らく今日の一回だけで、あとはテストの日くらいしか使わないと思います。
テストまで、ずっと個人練習かと思われます」

「え!?」

「……なにその超楽な授業…」


ま、まぁそうだよなぁ…
だって今学期だってあと1ヶ月半だし、授業だってたぶん4、5回くらいだろうし…
本当、成績のためだけにある科目だな…


「神楽の音楽の授業は毎年楽器や曲目が変わる噂です。
……今年はピアノとバイオリンみたいですね
ピアノは毎年固定らしいですが、バイオリンは3年に1度くらいの周期で回ってくるみたいで、今年はバイオリンが予想されていましたが当たりですね」


机の上に置かれたタブレットを見て、頼くんがバイオリンに手を伸ばした。

……っていうか、予想されていたことすら知らなかったんだけど…そういう情報はどっから仕入れるんだよ…


「ピアノとバイオリン、かぁ…」

「姫がピアノで主人がバイオリンですね」


ピアノかぁ…
難しくない曲だといいけどな…


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