私と結婚してください。
それからバイオリン、楽譜、譜面台を各部屋に運んでいく。
竜司くんの部屋は3番、凰成は4番、伊織くんは6番だ。
「そういえば、音楽のテストがあるのは来月です。
今パートナー交換されてるお二人はこの練習はどちらの主人と行うのですか?」
「え、たぶん普通に今は私が竜司くんで、めぐが凰成じゃない?」
「ですが音楽はハーモニーが大事になる教科です。
前半はほぼ無駄になってしまいませんか?」
「…まぁ、そこらへんは竜司くんに聞いてみるよ」
どうせ、私たち姫に決定権なんてないんだから。
「はい、完了!
主人たちを呼びに行こ!」
一通り準備ができ、私たちは教室へと戻る。
本当これ面倒だよね。一緒に来てくれればいいのに。
一旦教室に戻り、主人たちを連れてまた音楽室へと向かう。
音楽の先生はどんな先生かな~と思ったけど、普通にここも担任だった。
…神楽の担任って、全教科できなきゃいけないから大変だよな…
普通教科ごと違わない?小学校かよ…
「じゃああとは個人練習な
たまに覗きに行くから」
一旦全員でCDで曲を確認して、あとはさっきの練習部屋に分かれる。
「竜司くん、テスト終える頃には交換期間終わってると思うけど私は竜司くんとでいいの?」
「いやだって、交換期間終わってもしかしたら俺を選ぶかもでしょ?」
・・・いや、それかなり可能性薄いんだけど…
「まぁいいじゃん。
なんとかなるって。俺は今希依ちゃんといたいだけなんだからさ」
「…そうですか」
「希依ちゃんから凰成の姫に戻りたい想いがひしひしと伝わってくるから、今くらい俺のそばにいてよ」
ね?と微笑む竜司くんに、私の胸がズキン、と痛む。
決して竜司くんが嫌な訳じゃないのに…そばにいたくないわけじゃないのに…
自然と、竜司くんを傷つけているこの状況がすごく嫌だ。
「ま、とりあえず今日はお互い個人練でしょ!
いきなり合わせられないし!」
部屋に入って竜司くんはそういってバイオリンを手に取った。
「うわぁ…」
「え、なに?」
「あ、いや…竜司くんにバイオリンが似合いすぎて…」
「はは、見とれた?」
「え!?」
「いいよ、見惚れてても」
そういって竜司くんはバイオリンを弾く。
竜司くんの奏でるバイオリンの音が本当にきれいで、上手で…
本当にこの人は、手のかからない人だ。