私と結婚してください。
「…なに、それ」
「え!知らないの!?
あんた本当どういう教育受けてきたの…
このバイオリン、めっちゃ古くて有名で、高価なバイオリンの名器だから!
数も少ないし!」
「へー、そうなのか」
そう言って凰成はなんのためらいもなく、ひょいっとバイオリンを持つわけだけど
「うわぁぁぁ!!そんな雑に扱うんじゃない!!
壊れたらどうすんの!!」
「はぁ?そしたら修理出すか新しく買えばいいだろ」
「ストラディバリウスを他のと一緒にすんな!」
もう、はっきり言ってそれどころじゃない…
弾くまでにたどり着けない
もっとお手軽に触れるやつないのかよ…
「とにかく、ガキの頃からこうやって持って壊れねぇんだから大丈夫だよ」
「これ宝だからね」
「へぇ」
…まぁ、興味がないのだから
何を言っても響かないよな。
そういうところは変わらないよな。
…ビビって触れないよりかましだよな?
そう思うことにしよ。
「…とりあえず音だしてみなよ」
「………だから出ねぇよ」
そう言いつつもこの名器を首に挟む。
その姿が…もうね、
王子様系の竜司くんと違って、似合う!!とかよりも
なんかもうちょっとこの俺様的顔で繊細なバイオリンを弾くというこのアンバランス感が絶妙で
竜司くんよりもやっぱりかっこいい…!!
うん、好き!!
____ギ…、ギィー…キ…
・・・ん?
あれ、ドア開いた?
あ、いや開けっぱなしか…
……ってことは今の音…
ハッとして凰成を見たら
ものすごい怪訝な表情でバイオリンを睨み付けていた。
「ちょ、待った!!」
なんなんだその耳が痛くなる音は!!
ギィギィなるわ、ギコギコしてるわ、楽器がかわいそうじゃないか!!
「…だから、音でねぇって言ったろ」
「……初心者でももっとまともな音出すわ…」
「うるせぇ」