私と結婚してください。
***
「___ん、こんな感じ。
そんな難しくないから練習すれば大丈夫だよ」
一通り弾いて凰成にそういっても、凰成は5秒間ほど真顔のまま動かなかった。
「…凰成?」
「あ、わり。
…たまには真面目に練習してやるか」
「うん!
凰成は器用だからすぐできるようになるよ!」
「…そ。」
あ、笑った。
ふわっと、ふっと、笑った。
なんか、久しぶりに見たなぁ。
めぐに対してとか、伊織くんに対して笑うことあるんだけど
こう、優しそうな笑顔は久しぶりだ。
「じゃ、まずは姿勢からだね!」
「…そんなとこからかよ」
その笑顔のためなら
その笑顔がまた私に向けられるなら
私は、まだまだ頑張れちゃうよ。