私と結婚してください。



ただ笑っていてほしいだけ、か…
俺、いろいろ欲張ってたのかも。

っていうか、自分がよけりゃそれでいいって思ってたのかも…


「…そう考えたら、吉良さんも大人になりましたね」

「……そうだな」


あんなに、自分のことしか考えてなかった凰成が

めっちゃ自分勝手な凰成が


「…女の存在は偉大だなぁ」

「吉良さんも、甘える以外のことを覚えたってことですね」


甘えること以外を覚えた、か。
本当そうだよな。親に甘えさせてもらえなくなって…

そんな凰成も今じゃ別人で……


「…俺に勝ち目なんて、最初からなかったってことかな」

「次は神崎さんの番ですよ」

「ん?どういう意味?」


なんて話していたら、向こうから足音が聞こえてきて
みれば、希依ちゃんと凰成が仲良く笑顔で歩いてくるじゃねーか。


「…笑顔、か」

「普段、私たちには見せない表情ですね」


すごい女子。
まさにあれこそ恋する乙女ってくらい、甘い笑顔をしてる希依ちゃんをみたら

…俺も、気持ちの整理ができたわ。


「ってかやっぱあの2人一緒にいたんじゃん」

「外でたまたま会ったのかもしれませんよ?」


……ったく、頼には敵わねぇな…


「…希依ちゃん!」


俺も、凰成には負けてられねぇわ。


「えっ、竜司くん?頼くん?
そこで何してるの?」

「ただのおしゃべり」

「…部屋の外で?」

「……まぁ。
それより俺、ちょっと希依ちゃんに話あるんだ。

…じゃ、お先~」


そういって、俺は凰成の横から希依ちゃんを奪った。
さりげなく手を持って。

凰成に見せつけて。




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