私と結婚してください。
「あ、そうだった」
「え、どうしたの?」
料亭を出た途端、凰成は足を止めた。
「俺、父さんの車で来たんだった」
「……だからなに?」
「は?いやだから
帰りの車がいねぇってこと」
あ、あぁ…なんだそんなことか…
そんなん別に
「ま、近いから歩いて帰るか」
「えっ?」
「……なんだよ」
「いや…凰成も変わったなぁと思って」
前なら絶対に車呼んでたもん。
凰成が外を歩くなんて、本当になかったから…
……成長したなぁ。
「は?なに言ってんだよ」
そう言うその笑顔も、私しか見れないのかな。
「ほら、帰るぞ」
「あ、うん!
……今日は本当にありがとね」
「別に。
…ってか、彼氏なんだったら普通だろ」
そう言いながらする照れた顔も
私以外には、見せないでね。