私と結婚してください。
─────その夜、
「希依」
「ん?」
私も入浴タイムが終わり、凰成のソファでまったりタイム。
付き合ってからこの時間がとにかく甘くて、いつも幸せな気持ちになれる
ん、だけど…
「なんか今日元気なくね?」
「え、そうかな」
「玲子んちから帰ってきてから口数少ねぇし」
「あー、ちょっと疲れただけだよ」
なんとなく、気持ちが晴れなくて。
玲子さんは完全に凰成のこと好きじゃなさそうだったけど
でも、凰成はどうなんだろう。
玲子さんのこと、本当に好きじゃなかったんだろうか…
「そ。」
凰成はそういうと私に顔を近づけキスをする。
いつもならドキドキして壊れそうなくらいなのに
今日はなんだか、ものすごく冷静だ。
「…希依
俺は希依の考えてることとか大抵顔みればわかるけど、今回はまじでわかんねぇ。
なんでそんな元気がない?」
なんで?なんて聞かれても
私にだってよくわかんないよ。
どうしたらいいのかわかんなくて困ってるんだよ。
「…希依、ちゃんと言って」
そういって凰成は優しく私の肩を抱いて身を寄せた。
本当に、それが優しくて
私の心を、少し開いた。
「…凰成って、玲子さんと付き合ってたんだね」
「え、あぁ…聞いたのか」
「うん。
…もっと前から知っておきたかったな」
そしたら、もっと心の整理ができたのかもしれない。
もしかしたらもっともっと悩んでいたかもしれないけど…でも
今知りたくなかったな…
「別に言うことでもねぇから」
「…そっか」
別に言うことじゃない、か
そうだよね。過去のことだもん。今は関係ないんだよね…
……それとも、知られたくなかったのかな。
自分の心のなかにしまっておきたかったのかな。
本当はまだ、心の整理ができてないのかな…
「…もう寝るね」
「は?」
「おやすみっ」
私はそういって立ち上がった。
心の整理ができてないのは私も同じ。
今は凰成のとなりにいるのがちょっと辛かった。
「ちょ、待てよ」
だけどまぁ凰成もそう簡単に解放してくれるわけもなく、あっさりと腕を掴まれた。