私と結婚してください。
翌日起きると、テレビの前のテーブルにはDVDのケースが起きっぱなしだったので
凰成を起こさないように静かにディスクを戻してから棚へと片付けた。
まだ6時。
凰成を起こすにはまだ早くて、私は廊下へと出た。
きっとまだ起床前。
静寂な空気が包む廊下はいつもとは雰囲気が違って、ひんやりしてるけど落ち着いた空間だった。
どこに行くわけでもなくて
ただただぼーっとしているだけ。
ドアに背中をつけて立っていると、カチャッと静かにドアが開いた。
「あ、頼くんおはよ」
「え、希依さん?
おはようございます。どうしたんですか?」
まだ6時だというのに、頼くんは着替えも済ませて部屋から出てきた。
「んー、なんとなくボーッと。
頼くんはこんな早くからどうしたの?」
「日曜日は伊織様も7時頃まで寝てらっしゃるので、毎週日曜日の朝に外へ歩きに行っているんです」
「えっ、毎週?すごいねー…」
「自宅にいると自由に外を出歩かせてはもらえないので…高等部になって寮生活になってからは自由なので、1人でボーッと歩く時間を大事にしてるんです」
「へー…そうなんだ」
自宅にいると自由に外を歩けないなんて、さすがおぼっちゃま…
そうだよなぁ。誘拐とかされたら困るもんね…
「…敷地内だけですが、希依さんも行きますか?」
「え、私もいいの?ボーッと出来なくなるよ?」
「大丈夫ですよ」
頼くんが朝から爽やかに笑うもんだから、それに私もつられて
「じゃあ、行く」
まだパジャマだというのに私も一緒に行くことにした。
「朝は寒いので上着を持ってこられてはいかがですか?」
「あ、そうだよね!ちょっと待ってて」
ってかパジャマで廊下出るなよって感じだよね…
私はダッシュで着替えもして、頼くんと神楽を出た。