私と結婚してください。



朝の涼しい散歩も終わり、神楽に戻ってもまだひんやりのした静けさが残っていた。

普段から静かだけど、気配がない神楽はちょっと居心地がよかった。



「そういえば、もうすぐ音楽のテストですね」

「あ、そうだね。
伊織くんと頼くんは安定してて羨ましいよー」

「吉良さんの調子はどうですか?」

「ん、まぁまぁかな。
初期の頃はどうなることかと思ったけど、毎日毎日練習してたおかげでだいぶ上手になったよ!」

「えっ…!?
それは…、ちょっと驚きですね…
あの吉良さんが…」

「いやまぁ、その気持ちもわかる…」


凰成のバイオリン、破壊的だもん…
最新兵器かよって突っ込みたかったもん…


「希依さんが指導されたのですか?」

「ん?まぁね。
私、幼い頃から中3までずっとバイオリンやってたの。
けっこう賞もとってたんだから!」

「そうなのですね、知りませんでした。
どうしてやめられたのですか?」

「んー、まぁ…私ってなんでもうまくやれる方じゃなくて…
高校卒業までに彼氏作らなきゃって焦ってたから、バイオリンどころじゃなかったんだよね」


だいすきだったバイオリンと離れるのは本当に嫌だったんだけどさ…
またいつか、弾けるときがきたらって思ってたのに
こんなところで再会できて本当嬉しかったなぁ。



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