私と結婚してください。



駅についてすぐ、まーたガキな伊織くんが

「ちょいトイレ!!」

というので、男女にわかれてとりあえずトイレに向かった。


「ったく、なんでいきなりトイレなのよ」

「はは、まぁ伊織くんらしいんじゃない?」


用を足し、二人で鏡の前でリップを塗る。
たぶん男たちの方が早く済ませてるだろうから、それだけですぐに出ようとしたんだけど

「あ、めぐ」

私がめぐを引き留めた。


「ん?」

「ねぇ、めぐってさ
…竜司くんのこと…」

「あー…、うん。
ずっと黙ってたけど、本当は昔から好きだったんだ。

ごめんね、言えなくて」

「う、ううん!!
謝ることじゃないよ!」

「なんか、ちょっと恥ずかしくて。
希依って恋バナするタイプでもないし、しかも相手が竜司とか…
身分違いすぎだろって感じだよね」

「え!そんなこと…!
…っていうか、そんなん関係ないよ。

それいったら私と凰成だって…」


だいぶ、身分違うよ…恥ずかしながら…


「…なんか、私の中でいろいろあったんだけど、やっぱり竜司のこと好きなんだ。
あんなどうしようもないやつだし、なに考えてんだかよくわかんないけど
…でも、本当はすごく周りのことを考えてて、すごく自己犠牲で…

なんかもう、放っておけなくて。
やっぱり、諦められないや」


そう語るめぐは、今までとは比べものにならないほど女の子でも
すっかり恋する乙女で


「…全力で応援する!!」


いつのまにか、めぐの手を握ってた。


「はは、なにそれ」

「え!だって絶対うまくいってほしいんだもん!!」

「…ありがと。頑張るよ」

「うん!」


ってことは、やっぱりまだ片想い、か…
あの日、告白っぽくなってたけど、ダメだったのかな…?

でもそんなこと、聞けないよな。


「あ、うまくいったときは絶対報告してよね」

「はいはい。
あんたも凰成とケンカしたらすぐ相談してよね」

「はーい」



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