私と結婚してください。
そして、切符売場までやってきました。
「で、ここ押すだけ」
「ここ、ですね…」
ま、案の定頼くんは切符を買えなかったから、まず最初に頼くんに切符の買い方を教えた。
「最後におつりと切符取ったら大丈夫!」
「…わかりました。
なにからなにまでありがとうございます」
「ううん、いいよ!
頼くんの役に立てることって滅多にないからなんか嬉しいや!」
申し訳なさそうに言う頼くんに笑顔で応えると、頼くんも笑ってくれた。
私なんて毎日頼くんにお世話になってるんだもん。
このくらいお安いご用だよ。
「おい、俺のは買えたのかよ」
「ちょ、凰成重い…」
なんてしてたら、今度は後ろから凰成がのし掛かってきた。
頭に腕のせてきやがって。
「早く俺の」
「お、凰成も自分で買うの!」
「は?」
「ほら、やる!!」
私はそういって500円を凰成に差し出した。
どうせこいつは現金もってないんだから。
「…お前さ、なんでそんな頼には優しいんだよ」
「え?」
「そんな俺の世話すんの嫌かよ」
凰成はそういうと、私の500円なんか受け取らず、自分のお財布から千円札を取り出し、自分でさっさと切符を買った。
「ほらよ」
しかも、ちゃんと私の分まであって。
私に切符を渡したら、凰成はさっさと改札に切符を入れて、通ってしまって…
「希依さん、追いかけなくてよろしいのですか?」
「…え?」
「ここは私と西島さんに任せて、希依さんは吉良さんのところへ、早く」
「あ、えっ…、ご、ごめん!」
頼くんに急かされて、私も改札の中へと入った。
階段を急いで上ると、ちょうど凰成がエスカレーターから降りるところだった。
「凰成!」
階段をかけあがりながらも必死に声を出したら、凰成にはしっかり届いたみたいで、
止まってこちらを振り返ってくれた。