私と結婚してください。




それからは伊織くんの言われるがまま、どんどんアトラクションに乗り込んだ。

激しいジェットコースターから、メルヘンなメリーゴーランドまで
なにからなにまで。


長谷川さんと、この特別なカードもあり、何をするにも本当に待たなくて、ちょっと申し訳なくなってしまうけど…


「少しは希依も慣れろ。
俺の彼女になったからにはな」


凰成が笑顔でそういうから、私も覚悟もって全力で楽しむことにした。

もしこれが姫だったら違ったんだろうけど…彼女、だもん。
今だけじゃないことだもんね…


「よーし、じゃあ次は…」

「伊織さま、少し休憩しませんか?」


大きなジェットコースターをみてキラキラした伊織くんに、ちょっとお疲れな頼くんからナイスなアイディア。


「えー、さっき昼飯食ってたのにー?」

「だからこそ、です。
胃に食べ物が入ってる状態では気分が悪くなってしまうかもしれません」

「……確かに」


そ、そうだよ!!
満腹状態でのジェットコースターはさすがにきついわ…


「あ、じゃああれにしねぇ!?」


てっきり休憩するのかと思ったら、伊織くんはまたキラキラしながら指を指した。


「結局乗るんかい」


めぐもそんな突っ込みを入れつつ、伊織くんの指を追うと


「あ、観覧車いいじゃん」


大きな大きな観覧車が、向こう側に見えていた。


「観覧車?」

「あれにのって、景色を眺めるの。
ゆったりしてて休憩にはちょうどいいかも。
一周20分~30分くらいかかるしね!

…って、凰成乗ったことないの?」

「あー、ねぇな。
いつも1人だったし、1人で景色眺めるってのもな」

「へー…じゃあ誰かと乗るのは初めてなんだ?」

「いやまぁ親父の会社の人はいたけど
友達とかはいなかったな」

「そうなんだ」


だから、かな?
凰成はずっと楽しそうに、笑顔が絶えない。
朝はあんなに不機嫌だったのにね。


「…じゃあ、初観覧車が私だね!ふふ」

「なに笑ってんの?」

「別に!早く行こ!」


彼氏と観覧車、か…
なんか少女漫画みたい!

一緒に生活してるから二人きりなんて慣れちゃってるけど…
それでもあの空間はやっぱり特別だもん。



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