私と結婚してください。


それから30分ほどたって、頼くんは処置から歩いて出てきた。


「頼くん!」

「頼大丈夫か!?」


頼くんの姿を見て駆け寄る私たちに、頼くんは笑顔を見せた。


「右足が軽い捻挫、左手首が打撲だ。
全治1週間ってくらいの軽傷だ」


後ろから出てきた伊織くんのお父さんが笑顔でそういうと、私たち一同は安堵のため息が出た。


「でも絶対無理は禁物。
治るまで、伊織の世話はする必要ないからな」

「そうそう!俺のことより、自分のケガのこと考えろよな、頼!」


そういう伊織くん親子がめちゃくちゃ微笑ましくて、私も自然と笑顔になった。

あ、そうだ
お礼言わないと…


「あの、頼く「頼。」


だけど、その私の呼びかけは、後ろから聞こえたダンディな声にかき消された。


「お、父さん…」


お、お父さん!?
この人が…

…なんか、厳しそうな人だな…


「どうして、こちらに…」

「瀬戸さんから連絡をもらったんだ。
(せがれ)が、お世話になりました」

「いえ、とんでもない。
全治1週間のけがですので、1週間は安静にさせてください。

では、私はこれで失礼します。

伊織も、早く帰りなさい」

「あ、はい」


そうして伊織くんのお父さんは去っていった、けど
頼くんを見ると、どうも落ち着かなくて…


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