私と結婚してください。
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結局、お風呂から出たあとはベッドに倒れ、凰成に声をかけるどころか顔を合わせることもなく朝を迎えてしまった。
遊園地にも行ったし、頼くんのこともあって、いろんなことで疲れていたんだろうけど、さすがに挨拶もなしに眠って…なんかちょっと姫としてどうなの、これ…
まぁたぶん今の凰成ならそんなことで怒るなんてしないとは思うんだけど…
とりあえず私は顔を洗って歯を磨いて、制服に着替えてから凰成を起こすべく部屋を出た。
「あ、はよ」
「え!お、おはよ…
凰成、起きてたんだね」
「あ、あぁ
ちょい伊織が気になって」
「…そか。伊織くん、今日からしばらく1人なのか…」
「頼のやつ、学校も来ねぇのかな」
…きっと、来ないだろうなぁ。
だって謹慎とまで言われてたし…
「ちょい俺、伊織のこと起こしてくるわ」
「え、あ
私も行く!」
「は?いいよ」
「でも私も気になるし…
それに私が行った方が飲み物の準備とかできるし…
私がケガしてた時も頼くんがいっぱいやってくれてたから、今度は私の番だよ」
「…そ。なら行くか」
「あ、うん!」
凰成と部屋を出て、すぐそこにある伊織くんの部屋のドアをノックした。
「伊織くん、起きてる?」
私がそう問いかけると、5秒くらいで部屋のドアが開いた。
「おはよ、希依ちゃん。
どうしたの?凰成も」
「あ、おはよ!
や、その伊織くんが気になって…」
「そか。
俺は大丈夫!ちゃーんと1人でも起きれるよ」
「いや、それだけじゃなくてさ」
私がそう、ちょっと気まずそうに言ったけど、伊織くんは相変わらず笑顔だった。
「大丈夫。俺のことはいいから」
そういってドアを閉めようとしたけど
「あ、待って」
私がそうはさせなかった。