私と結婚してください。



「希依」

「ん?」


準備が終わり、少し時間が余ったからか凰成は私をソファに呼んだ。


「なんか、最近してねぇから」


そういって私にキスをする。


「…ふふ、そうだね
そういえば土曜日は玲子さんち、昨日は遊園地だったし
こうやってここでまったりする時間全然なかったね」

「お前頼ばっかだったしな。
たまには俺の時間も作れ」

「…はーい」


昔はこういう俺様なとこ、嫌いだったなぁ。
今ではそれすら心地いい。

そういうとこすら好きになってしまったなんて、恋の力は本当恐ろしいよ。


「ねぇ、凰成?」

「ん?」

「私たちってさ
卒業後もちゃんと一緒にいれるのかな」

「は?当たり前だろ」

「そっか」


なんか、さっき伊織くんを見てて思った。
そこにいて当たり前の人がいなくなるって、本当に怖いんだろうなって。
寂しいのももちろんあるけど、自分大丈夫かなって不安になるんだろうなって。

春から凰成と毎日一緒で、凰成がいなくなったら
きっと私の毎日はつまらなくなっちゃうんだろうな…


「希依」

「ん?」

「ちゃんと、俺だけを見てろよ」

「いつも凰成しか見てません」

「は?ぜってー嘘」

「……いやまぁ、ちょっと盛ったけど。
今も伊織くんと頼くんのこと考えちゃってるけど」

「だろうな
ま、そういうとこも含めて好きになったんだけど」


そんなまったりしたこの空気が大好きだ。
こうしてるのが、私の中で今一番幸せなんだろうな。


そんな、ささやかな幸せをぶち壊すかのように


~♪~♪~♪


いきなり、放送が流れた。
初めてだよ、ここになにか流れるの。


『おはようございます。
神楽全員8時にホール集合してください』


…ホール?
え、なにそれどこにあるの?
この建物内にあるってこと?


「…なんか、嫌な予感しねぇ?」

「え?あぁ…
なにかなきゃこんな呼び出し、しないもんね」

「頼のことでなんかあったとしか思えねぇ」


…そっか、そうだよね…
怖いなぁ…


「とりあえず、飯に行くか」

「…うん」


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