私と結婚してください。



「ってか、いきなりホール集合ってなんなんだろうな。
今までこんなこと一回もなかったし」

「確かに。
なんか連絡事項あったとしても姫伝いか、教室で朝のホームルームでいうのにね」

「…なんなんだろうな、これ」


私たちがそんな話をしていると、いきなりステージには担任の先生が現れた。


「どこの席でもいい。適当に座ってくれ」

「先生ー、今日なに?」

「なんでホールなの?」


伊織くんと竜司くんがそう聞くと、先生の表情はゆがんだ。


「…学長から、大事なお知らせだからだ」


それだけ言って、またステージから消えた。


「学長から大事なお知らせ?なにそれ。
めちゃくちゃ嫌な予感しかしないの、俺だけ?」


竜司くんのその言葉に、誰もなにも言わなかった。
きっと、みんな嫌な予感しかしてない。

あの先生の真面目で、かつ歪んだ表情。
そして先生からではなく、わざわざ学長直々のお知らせ。


嫌な予感しか、ないよ…



会場がシーンとなったころ、ステージに立ったのは
入学式以来みたことがなかった、学長の姿だった。

この人は本当に生徒の前には姿を見せない。
全体集会があったって、出てくるのはせいぜい教頭まで。

校長より高い位置にいるこの人は、まず姿を見せない。


そんな人が、なんでまたこんなところに…


「君たちに、大事なお知らせがある」


みんなが、その先の言葉に恐れてる。
今からなにを言われるんだろう、って…


< 324 / 419 >

この作品をシェア

pagetop