私と結婚してください。
そしてしばらくして到着した吉良邸。
何度来ても慣れないこの豪邸。
もちろん庭には噴水もあるし、いつ見ても立派な倉庫もある。
そしてその奥に、立派なお屋敷が見えてくる。
「おかえりなさいませ」
「あぁ、親父は?」
「旦那様はお部屋でお待ちです」
「今日って母さんもいんの?」
「奥様はお出になられています」
「そ、じゃあ希依会わせんのもまた先か…」
あ、そか…
まだ凰成のお母さんとは私会ったことないんだ…
それから、この使用人さんの案内の元、お父さんのお部屋まで到着した。
「旦那様、凰成様が到着されました」
この使用人さんはちゃーんとノックする。
こういうの見てきたはずなのに、どうして凰成はノックできないんだろうね…
「おう、早かったな」
招き入れてくれた凰成のお父さんの一言目はそれだった。
『おかえり』とかないのか…
「なんなんだよ、あのふざけた留守電」
「じゃないと帰ってこないだろ」
それに、凰成はなにも答えなかった。
言われるがまま、とりあえず向き合うように私たちはソファへ座った。