私と結婚してください。



「神楽解体の話をしに来たのか?」

「なんだ、わかってんじゃん」

「それは御縁さんが決めたことだ。
俺に言われたところで、なにも変わりはしない」

「でもなんで反対しないんだよ」


その問いに、お父さんの答えは返ってこなくて…


「凰成、なにかを変えたいなら、自分が変わるしかない。
俺にはそれしか言えない」

「は?」

「俺にはこれ以上なにも言えない。
とりあえず俺は、御縁さんの案に反対はしない。
お前らに協力できることもなにもない。

自分たちでどうにかするしかないんだよ」


「…なんでだよ」


そういった瞬間、凰成のスマホが鳴った。


「…悪い」


凰成はそう言って、ドアの方まで言ってから電話に出た。


「もしもし、伊織どうした」


あ、なんだ伊織くんか…

なんてことを凰成の後ろ姿を見ながら思っていたら、小さい声で

「希依さん」

お父さんに呼ばれた。


「はい」

「これからも、凰成を頼むよ」

「え?」


どういう、意味…?
だって、神楽が解体されたら私たちは会うことができなくなる。
それを承諾しているんじゃないの?

これからもって、年末までって意味?


どういうこと?



「希依」

「えっ、あ、はい」

「学校戻るぞ」

「え!?」


凰成はそれだけいって部屋を出て行ったから
私は凰成のお父さんに頭を下げた。


「大変だと思うけど、きっと大丈夫だから」

「…それ、どういう意味ですか?」


私のその問いにも、お父さんは笑顔でかわすだけ。
いったい、この人はなにを考えているんだろう。
私たちにどうしてほしいんだろう?

…わからない。なにを考えているのか、さっぱりわからない。


神楽の解体に賛成なのか、それとも凰成のそばに私はいてもいいのか…


「希依!」

「あ、今行く!
…失礼します」


凰成の声に、私はお父さんに頭を下げて部屋を出た。


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