私と結婚してください。



「……希依」


ヒートアップした私の肩を抱いたのは、凰成だった。


「…とにかく、私は忙しいんだ。
そろそろ帰ってくれ」


頼くんのお父さんはそういって、門の中に入ろうとした。


「俺らまた来ます。
また明日も、明後日も来ます。
頼が学校に来るまで、毎日来ますから」


凰成のその言葉になんの返答もないまま、門のドアは閉まった。


「……とりあえず帰ろう」

「…うん」


私たちは結局、なんの成果も得られないまま、また車へと乗り込んだ。


「……ごめん、俺…」


そしてなんだか、やけに伊織くんの元気がない。


「俺…、なんにも言えなかった」

「あぁ、うん
いいんじゃない?別に」

「俺が一番頼といる時間なげぇのに、なんにも言えなかった!!」

「いやそれ逆だろ。
いつも一緒だから、言いたいことがありすぎて、なに言えばいいかわからなかっただけだろ。
落ち込むことじゃねぇし、たぶん親父さんもそれわかってるから」

「……はぁ…
まじで俺頼りになんねぇ…」


…まぁ、一応元気はあるのかな。


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