私と結婚してください。



「頼くん!」


そこにはまさしく、頼くんが立っていた。
まだ足にはテーピングがされているけど、そこにはちゃんと立っている頼くんがいた。


「……希依さん、頭を下げさせてしまい、申し訳ありません」

「そんなこと……
……ねぇ、頼くん。
私には頼くんが必要だよ。絶対に、頼くんはそばにいてほしいよ。
また一緒に授業受けようよ。ごはんも食べようよ。
外出はダメでも…神楽の中で、一緒に遊ぼうよ。
私、頼くんがいなきゃ神楽に馴染むことなんかできなかった。
いつもいつも頼くんに頼ってばかりだけど、話だって聞いてほしい。

だからお願い、学校辞めるなんて言わないでよ…」


私のその願いに、頼くんの顔は歪んだ。
その顔を見て確信したんだ。

頼くんは、絶対にまた学校に行きたいんだって…
本当はまだ通いたいんだって


「そうだよ、頼!
俺お前いないと音楽のテストどうなるんだよ!」

「…伊織様…」

「それに、希依だけじゃいろいろ不安だし。
やっぱ頼がいねぇと」

「ちょっと、凰成一言余計!」

「あ、わり」


私たちのそんなやり取りを見て、頼くんはクスっと笑った。
その顔を、おじさんはちゃんと見逃さなかった。


「ねぇ、頼くん。
頼くんの本音、聞かせてよ。

頼くんが本気で学校辞めたいなら私たち、もう帰るからさ」


私は笑顔でそう頼くんに伝えた。
あくまでも本音を言ってほしくて。
私たちに気を使ってほしくなくて…


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