私と結婚してください。
「……どこ行きたい?」
「は?」
「だから、お前は次どこ行きたいんだよ。
なんかねぇのかよ」
……なんだ?急に。
今度はこっちに合わせてくれるのか?
よくわかんないなぁ…
「……金出すくらいしかできねぇけど」
私が不審に思ってなにも答えないでいると小さな小さな声でそう続けた。
「金で解決できんなら付き合うから」
こちらを全く見てなくて
しかもかなりの下手に出ていて
「……ふふ」
似合っていなさすぎて、思わず笑ってしまった。
「な、なに笑ってんだよ!」
「意外な一面が見れたから。」
「……るせぇよ」
一応、ちょっとはこいつにも他人を思いやりたいって心は備わってるみたい。
「じゃあ、可愛いパジャマがほしい。」
「パジャマ?持ってねーの?」
「ない。
今までずっと妹と一緒だったから手抜きだったし。
一応これからは他人と一緒に住むから、なんかちゃんとしたのほしいかな。」
「ふーん、そ。
店の指定はねぇの?」
「うん、どこでもいいよ。」
「じゃあ俺の行きつけのとこな。」
あ、笑った。
……ふふ、優しいじゃん。
さっきの、ちょっとは刺さったのかな?
ま、自己中で世間知らずのお坊っちゃまだけど
私でも少しは役に立てること、あるみたいだね。