私と結婚してください。



こんな高校生が絵本ってどうなんだよって感じだけど、私たちは本当に本屋さんに来て絵本を探した。
この時期、サンタさんの絵本はたくさんあって

「ほら、これがサンタさん」

「あぁ、街でよく見かけるやつ」

あっという間に見つけることができたんだけど。


「サンタさんはね、クリスマスの夜に子供たちにプレゼントを持ってきてくれるんだよ」

「は?なにそれ」

「凰成は、クリスマスにプレゼントってもらったことないの?」

「…たぶんない。
そこまで意識したことなかったな」


まじかい。さすがっすね、坊ちゃま。
まぁ確かに、ほしいものとかなんでも買い与えられそう。
ってかほしいものとかあったのかな


「希依は?もらってた?」

「当たり前じゃん!
たぶんサンタさんて各家庭で違うと思うんだけど
私と椎依はお母さんから、うちにくるサンタさんはインターホンを押してくるんだって。
それでお母さんが受け取って、それを枕元に置いてるんだって言われた」

「へぇ。
この絵本だとサンタがこっそりプレゼント置いてるのに?」

「まぁそういうサンタさんも世の中にはいると思うよ?
でもうちのサンタさんはやけに現実的だった」


まぁ、なんかそれも間違ってない気もするよね。
ピンポーンて来て、お届け物を受け取って、渡してくれる…
まぁ、そういう家庭もあるよね、うん。


「大きくなるとサンタさんの存在を信じられなくなる人が大半なんだけど
ちゃんと、どこの家庭にもそうやって子供を喜ばせためのサンタさんって、本当にいるんだよね。
そうやってそりに乗って空を飛んでくるっていうのが架空なだけでさ」

「…なるほどな」


ね、そうだよね?お母さん。

毎日、精いっぱい生きてる子供たちの笑顔が見たいだけなんだよね。


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