私と結婚してください。



「ちなみにもうもらってねぇの?」

「さすがに寮に入ってからはもらってないけど
でもお母さんから直接なんかもらってるよ。
去年はクラシックコンサートのチケットだったし」

「あぁ、希依好きだもんな」

「いつかは私もあそこに立ちたいって昔は本気で思ってたけどね」

「今は思ってねぇの?」

「今更もう無理だよ。
コンクールも出てないし。それに私は大勢の人を喜ばせなくても、いつでもバイオリンを弾ける今の環境でも全然いいかな。
毎年、なんだかんだクリスマスには両親の前で椎依とセッションしてるしね」

「へぇ、そうなんだ」


それでお母さんたちが喜んでくれるなら、私はそれで充分なんだ。


「あ、そういえば
椎依は音大受けるんだってー
私全然知らなくて。

ってか私たちって大学どうなるの?
凰成受験する?」

「俺ら神楽はそのままエスカレーター式で大学上がることが保証されてる。
学部も自由に選べるよ」

「え、そうなの?」

「そう。たぶん年明けには聞かれると思うけど。
ちなみに伊織と頼は医学部、俺と竜司は法学部
西島は知らねぇけど、希依も決めとけよ?」

「えーなんか音楽できるところないのー?」

「さぁ…さすがに音楽学部はねぇし」

「だよねぇ」


進路かぁ。
なんか、周りが全然受験感ないから本当存在忘れるわ…

私はいったいなにになりたいんだろう。
とくになりたいものとかないなぁ。
だいたい18歳で結婚しろって言われてるくらいだし。

…そういえば、私は今凰成と付き合ってるけど、凰成は気にしてくれてるのかな?私の家のこと…
知ってはいるし、金城さんちとの会食の時もわざわざお父さんを連れてきてくれたり…

気にしてくれてる、よね?
信じていいよね…?


「まぁ本当に行くとこなきゃ一緒に法学部行くとか」

「え!絶対無理!
絶対勉強ついていけない!!」

「…あ、そ
まぁ希依は法律って感じじゃないもんな」


なんか私、本当将来のことについてなにも考えてなさすぎ…
みんなそれなりに考えているのにね…


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