私と結婚してください。
久しぶりのデートも、夕食は結局神楽で食べた。
まぁオーダーしてあったしね。
「ねぇ、めぐは進路どうするの?」
「私は看護にするよ。
福祉系の仕事につきたいんだー」
「…そうなんだ」
まじか。まじかい。
決まってないの、私だけ…
みんな考えること早いなぁ…
「希依はまだ決まってなくて悩んでんだよ」
「え、希依ちゃんまだ決めてねぇの!?
もう今年終わるけど!!」
「うるさいなぁ!」
だって、そんなこと考えてこなかったんだもん。
18歳で結婚することしか考えてこなかったから…
「まぁ希依のやりたいことなんて、バイオリン弾くことくらいだもんね?
昔はあんなに部活に燃えてたわけだし」
「そうなんだよねー…
かといって音楽専攻できるような学科があるとこないしさ…」
本当、どうしよう…
「いっそのこと、音大を受けてみてはいかがですか?」
「え、音大?
いやーでも私じゃ…」
「筆記試験もありますが、実技でとってる大学も多くあります。
今からならまだ間に合うのではないでしょうか。
ダメでも、受けてみるチャンスはあると思います。
希依さんのバイオリン、すごく上手ですし」
「…そうかなぁ…」
「そうだよ、希依!
受けてみればいいじゃん!」
「もしだめでも、留学という選択肢もありますよ」
「…でもなんか、それはそれでみんなと離れ離れで寂しいな」
ずっと一緒だったのに、突然バラバラなんてさ…
「でもどうせ、キャンパス俺らバラバラじゃなかった?」
「え、そうなの!?」
「そうですね。
法学部と医学部、看護学部
どこもキャンパスは違います。
医学部と看護学部は隣同士らしいですが、それでも会うことはないかと思います」
…まじか。そうなのか…
結局みんなバラバラなんだぁ…
「まぁ私立だからキャンパスはいろんなところにあるんだよな。
希依ちゃんも少しは焦った方がいいけど、後悔ないようにね」
「…うん」