私と結婚してください。



「ってかさ、凰成のお母さんって元姫って言ってたじゃん?
本当に普通の家庭?」

「あぁ、本当に普通。
俺が高校に上がってからはないけど、前は正月とかちゃんと俺も母さんの実家に行ってたけど、家の大きさも希依んちの半分くらいだし」

「え、そうなの?
ってかそんな普通の家庭で育ったお母さんがいるのになんで凰成はそんな世間知らずなの」

「は?どういう意味だよ」

「いや、そのまんまの意味だから。
現金使えないし」

「……うるせぇよ。
ってか普通にあんまり親と関わりがねぇからだと思うけど」

「小さいころからなかったの?」

「前に言ったろ、一人の飯はうまくないなんて知ってるって。
なんなら親と飯食った回数数えられる程度だし」

「え!?え、そんなんなの?」

「そんなんだよ。
まぁ付き人はいたし、俺の教育係みたいな人はいたから、その人の影響で今の俺が完成してる感じ」

「いや、今の凰成は絶対に私のおかげだからね。
私と知り合った頃の凰成なんて、竜司くんしか大事にしてなかったし」


あの頃のクソ具合ったら…
本当に最初嫌いだったもんなぁ…


「……まぁ、俺は竜司んちにいた時間も長かったしな」

「ふーん、そうなんだ」


凰成のお母さん、すごいいい人だったよな。
いい人であふれてた。初めて会ったのに、私のことをもうほぼ受け入れてたし…
ってか、じゃなきゃあんなアドバイスくれないかなぁ…


「……なんかそれにしても、私もっと最初は凰成のご両親に交際反対されると思ってたな」

「は?なんで」

「だって一人息子じゃん。
もっとご令嬢とかの方がいいとか…」

「だから俺んちは神楽出身だから理解あるんだって」

「それにしても、だよ!
きっと他のお金持ちさんたちとも付き合いがあって、そこの娘さんとかとの縁談話とかもあったはずだよ。私みたいな。
それでも、そこを受けないで凰成が選ぶ人委ねるって、大人としてすごいなって。

そんだけ凰成のことも信用してるし、自分に自信もあるんだろうね。
大人の付き合いより子供第一でさ」


それに比べてうちは…
私が恋愛に無頓着だったこともあるけど、お父さんの会社の利益になる人の子供と私をくっつけようとしてたんだもん。

やっぱりお金持ちはそこらへんの考え方も違うよなぁ…


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