私と結婚してください。
そんな話をしながら食堂に行くと、みんな揃って私たちを待っていた。
「ごめんね、お待たせ」
そして私と凰成のご飯も、もうテーブルに並んでいた。
きっと頼くんが準備してくれたんだろうな
「いや、いいよ」
「希依ちゃんのバイオリンの音が聞こえたから、あえて声かけなかったの」
「え?え、でもあの部屋防音性高いよね…?」
それでみんなの部屋にも聞こえたって…そんなうるさかったっけ…
「あぁ、凰成が部屋のドア開けてたの!
だから俺らの部屋のドアも開いてたから聞こえたんだよ」
「え、そうなの!?」
「うん。みんなテスト勉してたからさ、いいBGMになるって凰成から連絡きて。
でもなんかうますぎて全然はかどらなかった」
「う…なんかごめん」
にしても、みんなに聴かれていたとは…
なんか恥ずかしい…あんまりみんなには聴かせてこなかったし…
「希依はもっと難しい曲もすらすら弾けるよ。ね!」
「え、まぁ楽譜さえあれば…」
「まじ!?すっげー!」
「でもソロより、みんなで弾いてる方がキレイだから私はそっちを聴いてほしいよ」
ソロももちろん大好きだけどね。
でもやっぱりオーケストラ部だった私はオーケストラが大好きだ。
5重奏も大好きだ。
「さ、ご飯食べよ!」
ってことで、みんな揃っていただきます。
今日の夕食は凰成希望でうな重。
ここでうなぎは初めてだ。
「ね、ちなみに
希依ちゃんははなんの曲が好きなの?」
「えー、どの曲も好きだけど
まぁ強いて言うなら、初めての発表会でカノンを弾いたから、それが結構思い出深い曲かな。
まだ5歳だったし、舞台慣れしてなくて緊張しまくって間違えまくって大泣きしたの今でも覚えてて
それからステージでカノン弾くことは一切なかったんだけど、またいつかチャレンジしたいなっていう気持ちはあるかな。
まぁ今ではもう普通に弾けるんだけどさ」
でも、あの頃は悔しくて悔しくて。
あの悔しさが強いバネになったのは間違いないんだけど。