私と結婚してください。
「希依、こういう時は俺が紹介するって言ったろ」
「あ…」
そ、そうでした…
そういえばそんなこと言われましたね…
「ご、ごめん…」
「いや別に謝らなくてもいいけど」
なんか、だめだ。
パニックで頭が真っ白だよ…
「…あの、ちょっと失礼します」
私はそういって、来たばかりだというのに会場を出た。
慣れなくて…どうしたらいいのかわからなくなる…
自分でなんとかしなきゃなのに…
ああいうとき、私はどうしたらいいのかわからなくなる。
凰成とあの女の人の会話に入っていいのか、それともそばで立ってるだけがいいのか
そもそも、違う人のところに行くべきなのか…
どうしたらよかったんだろ…
「そんな庶民の分際で凰成の彼女?」
「え?」
誰もいないここで、いきなり後ろから声をかけられ
振り返ったら、さっきの女性が立っていた。
「自分が釣り合ってないとか、場違いだとか、自覚してらっしゃる?」
「…自覚ありますよ」
「じゃあなんでここにいるの?」
「凰成の、彼女だからです」
私が勇気振り絞ってそういっても、この人にはビクともしなくて…
「笑わせないでよ。
そんなドレスとかで着飾っても庶民臭は消えないんだから」
その言葉に、私はなにも言えなかった。