私と結婚してください。



私と結婚してください、なんて
どうして言っちゃったのか…私自身よくわかっていないけど、でも
あの言葉のおかげで今こうやって凰成と一緒にいられるんだもんね…


「あ、のさ凰成…」

「ん?」


”私と結婚してください”
そう、また言えばいい。たったそれだけ。

あの時は言えたんだ。


頑張れ、希依。


「あ、あの…」

「なんだよ」

「……やっぱなんでもない」


あぁぁぁぁぁぁ!!希依の意気地なし!!
一気に言っちゃえよバカ!!


「じゃあ、俺からいい?」

「え?なに?」


凰成の方を向くと、凰成は私の目を見た後、噴水の方に目を向けた。


「なんであそこがナンパスポットなのか、知ってるか?」

「え?ううん。知らない」

「昔、あそこで盛大に告ったやつがいたらしいよ」

「へぇ、そうなんだ」


凰成はそう言いながら、私の手を掴んでまた噴水の方へ歩き始めた。


「でもよく凰成が知ってたね?」

「聞いてたから。話を、ガキの頃」

「へぇ?」


そんな前から、あそこはナンパスポットだったんだ…
そりゃ人もよりつかないわな…


「昔、ここで女に一目ぼれした男子高校生が声をかけたんだってさ。
結婚を前提に、付き合ってくださいってさ」

「え、一目惚れで、結婚前提なの?」

「そう。でもそれで本当に結婚してんだよ」

「へぇ…すごい」


一目惚れで結婚前提の告白を受け入れた女の人も、それを言った男の人も、すごいや…


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