私と結婚してください。



「……お、うせい…」


あまりの真剣さに、私は全身固まった。
私が言おうとした言葉をこの人は先に言ってきた。

最初は、その意味が理解できなくて固まるしかできなくて


「さすがに、早すぎか」


少し困った眉になった凰成に、なにか答えなきゃ
そう思って

なにか言わなきゃ、そう思って


「わ、私も
け、けけ、結婚してください!!」


「……え?」


なんか、トンチンカンな言葉が出た。


「え、あぁ!!ち、違った!」

「はは、落ち着けよ」


そう笑う凰成の表情がすごく幸せそうで
こんなに声を出して、優しく笑う凰成は私しか知らないと思うと

すごく、幸せな気分になった。


「…私も、凰成と
結婚したいです」


すごく優しく私を見守ってくれる凰成に、私は丁寧にそう答えた。
たぶん、顔は真っ赤。

でも、きっと凰成も真っ赤だと思うから…


「ん、よろしくな」


私は、嬉しくて嬉しくて
凰成に抱き着いた。


「へへ、ありがとう」

「はいはい、とりあえず離れろ」

「うわ、つめた」


今さっきプロポーズしてくれた人の温度とは思えない。
急に冷めた。


「まだ、終わってねぇから」


凰成はそう言って、また私の左手を取って、指輪を外した。


「え、」

「これは母さんのだから」

「え?」


凰成はそう言うと、ポケットから違う箱を取り出した。


「まぁ、一応クリスマスプレゼントってことで」


そういうと、今度はキラキラなストーン…たぶん、小さいダイヤがたくさんついた、ハートが連なった指輪を私の薬指にはめた。


「あ、ありがとう!!」


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