私と結婚してください。
「必要ねぇ。」
「だからってあんたにこんなことしていい権利なんてあるわけないでしょ!?解除してっ……んっ、」
解除しろ、とスマホを差し出したのに
差し出した手首をがっつり掴まれ、引き寄せられたかと思えば私の唇は吉良凰成の唇によって塞がれた。
━━キス、というやつで。
「ちょ…、」
しかも、深い。
こんなやつの唇が私の口を支配していて
思うように離れてもくれなくて
「……や、だ!」
力ずくで思いっきりこいつを押して、なんとか抜け出した。
「……最っ低!!」
「最初に言ったろ。
手抜きしたら俺自身が罰を加えてやる、って」
「でも、こんなの…」
「じゃあお前はなんだったら必死になれんだよ。
解雇されて悔しいか?嬉しいだろ。
それとも、お前の大事な妹をここから追い出してやってもいいけど。
お前がミスするたびに妹から始まり友達も一人ずつ減っていく。
どっちがいい」
「……わ、わかったわよ」
こいつの目が本気で、すごく本気で怖くて
……言い方はいつもと変わらないのに、目が本気で怒っていて…怖かった
もう、こいつのそばにいたくなくて
「……どうぞ。おやすみなさい」
紅茶をさっさと差し出して部屋に戻ることにした。