私と結婚してください。



でもなんで私ってこんなに危機管理能力が低いんだ?
…っていうか、そんなものを気にしたことすらなかったってことは…



「……ねぇ」


「なんだよ」


「私って女としての魅力ってある?」


「……なんだよその質問…
まぁ、着飾って大人しくしてりゃあるのかもだけど、喋り方も仕草もがさつで洒落っ気もねぇから

女としての魅力は皆無かもな。」


━━ガーーン……


「そ、そうだよね」


そう、これだよこれ。
私って昔っから女として見られてこなかったからだ。

危機感?ナニソレ。状態になったっておかしくないよ!!


だって私は高梨姉妹の残念な方。
同じ見た目…ではないけど私より普通は椎依を好きになる。

私が男なら私なんか選ばない。
私だって椎依の方がいいもん。


だから、速水みたいな男友達はよくできるけど……
…女として見られてこなかったから、危機感なんて備えなくてもよかったんだ。

危機感なんて今まで必要なかったんだ。




……ということは

これも、女としての必要なものを身につけるいい機会かもな。


私も大人になっていくにあたって、危機感というものが必要になるかもしれないし。


よし、ここで私も少しずつ大人の女になっていこう。



「あの!」


「今度はなんだよ」


「あの、私をいい女にしてくれない?」


「……はぁ?」


「そもそも、彼氏作って結婚するためには私がいい女にならなきゃいけないと思うしさ!」


そしていい女になれば言い寄ってくる男も増えて、自然と危機感というものも備わるだろう!!

我ながらいい考え!!


「……お前はそのままでいいと思うけど。
無理して自分変えてもいつか限界来るだろうし

逆にお前が他の普通の女みたいになったらつまんねぇわ。」


……え、えと、
それはつまり…


「…もしかして誉められてる?」


「アホか。貶してんだよ。」


「…はぁぁぁ!?
ってことは私は普通の女以下かよ!!」


「それを自覚したからいい女にしてくれって言ったんじゃねぇのかよ」


う……そ、そうだった…
いや、自分で思う分にはいいんだよ。

でも人に言われるのはなんかむかつくんだよ!!



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