もう一度、あの恋を。
「な、なに?なんで笑われなきゃいけないの?」
「んー?いや、バカだなぁって思って。」
え?は?なんでナチュラルに悪口言われてるの?
「別にそんなにムキになって怒ることないのに必死じゃん。だから、犬見てるみたいだなぁって。」
「え?なに?私、貶されてるの?」
冷たい目をしながら、玉國をせめた。
「はいはい。俺も悪かったよ。今日はちゃんと部活行けよ?」
「そんなの野球部の玉國に言われなくたって行きますぅー!!!」
なんだかんだ自分だって悪いって認めてんじゃん。
なんか結局、玉國にいいとこ取りされたような気分になった。……なんか悔しい。
玉國とこんなに話したの、初めてだな。
意外と落として上げるタイプで驚いた。
言いたい事を言えたおかげか、今日は気分が良かった。
___放課後、久しぶりに部活に行った。
文化委員だからって休んでばかりだったので、みんなは不満が溜まっているのでは?と不安だった。
でも、『おかえり』や『頑張ったね』と声をかけてくれて泣きそうになった。
『本当にいい人たちに出会えたな。』
ダブルスのペアである隣のクラスの桐島知(きりしまとも)には一番迷惑をかけたので、帰宅途中にアイスを奢ることになった。
「紗那、ありがとうね~!!」
「本当にごめん。こんなに忙しいと思ってなくて…。」
「全然!!まぁ、正直に言うと、アイスは奢ってもらうつもりじゃなかったんだ。奢らせてごめんね。」
「いいよいいよ!せめてこれぐらいはさせて!」
「違うの。私たち家逆方向でしょ?だからアイス奢ってって言ったら紗那は私の方向についてきてくれるから、だからお願いしたの。紗那と話がしたかったんだー。」
「え?話?」
「うん、聞いてくれる?」
少し空気が変わった気がして怖くなった。