もう一度、あの恋を。
知は緊張しているようで、話をするのに怯えてるようだった。
私は知に近くのベンチに誘って、二人で座って話すことにした。
落ち着いたのか、知はゆっくりと話し始めた。
「正直ね。テニ部のみんなが、紗那が部活に来ないこと怒ってたの。私もいつも別のペアに入れてもらうのが嫌で、紗那に八つ当たりしてやろうなんて思った時もあった。」
それを聞いて、すごくショックだった。
みんな笑顔で迎えてくれたけど、本当はそう思ってたんだ……。
私は何も言わず、知の話を聞き続けた。
「本当は部活をサボる口実なんじゃないかなって思った。でも、昨日の帰る時、玉國が『もうすぐ最終下校時間なのに帰る気なさそうだから帰らせて』って言ってた。それで紗那のクラスに行ったの。そしたら必死に文化委員の仕事やってて、モヤモヤ考えてた私は最低なんだって思ったの。」
知の声は震えてて、今にも泣き出しそうだった。
「声をかけようと思ったけど、こんなにも最低な私にこの権利があるのって思ったら何も出来なかった。そしたら、仕事が終わったのかな?紗那が慌てて荷物を持って教室を出たのが見えた。その時、ラケットを持ってるのを見て、部活に行きたくても行けないんだなって分かった。」
涙を堪えきれなくて、泣きながら自分の心中を語る知を見てられなかった。
でも、話を止めると勇気を出して話すと決めた知の覚悟を裏切るんじゃないかって思って怖かった。
「……知。ごめん。私は知にこんな気持ちにさせてたんだ。」
「違うの。紗那は何も悪くない!!学校の行事のために頑張っているのに、私はそんな子供っぽいことしか考えてた!謝らなきゃいけないのは私のほうなの。紗那、ごめんなさい…。」
こんなに自分を責めてたなんて。知には本当に悪いことをした。