もう一度、あの恋を。
___入学して1ヶ月が過ぎた。
毎日が暑くなって、学校に行くのが億劫になってきたころ。
みんな半袖に衣替えした。
クラスの女子はグループが出来て、その中で恋バナが始まっていた。
正直、私はまだ恋愛なんてよく分かんないからつまらなかった。
「そうだね!」とか「分かる!」なんて相づちをうって合わせるだけだった。
『誰かを好きになるなんてどんな気持ちなんだろう…。』
別に興味がないわけじゃないから、結構気になっていた。
でも、周りは初恋が小学生だの幼稚園児だので聞きづらかった。
1人、トイレからの帰り、同じグループの宮野美和(みやのみわ)が突然、
「あのさ、みんな恋バナしてるけど、話についていけなくて……。寺井ちゃんはどう?」
何事かと思って固まってたけど、少し安心した。
同じ気持ちの人がいたんだなって。
「私もだよ。美和ちゃんもだったんだね。」
「え、そうなの!?寺井ちゃん経験豊富だと思ってた!!」
私の第一印象はどうなんだろう。
見た目地味なのに……。
まぁ、それはいいや。
そのお陰で美和ちゃんと仲良くなった。
美和ちゃんは小学校から仲の良い友達の友達で、まだまだどんな子か分からないことが多かった。
でも、このことですごく親近感を持った。