もう一度、あの恋を。
教室に戻ると、小学校から仲の良い松原世津(まつばらせつ)と後ろの席で仲良くなった中島結乃(なかじまゆの)が恋バナをしていた。
どうやら結乃ちゃんに好きな人が出来たらしい。
結乃ちゃんは嬉しそうに好きな人の話をしていた。
私は何だか心がもにゃもにゃした。
……いや、もにゃもにゃってなによ。
そして、チャイムが鳴ったので、話を止めてみんな席に戻った
結乃ちゃんの話を聞いてから私は落ち着かない。
『好きな人……か…。』
そんなことを思いながら、自分でも分からないくらい何かをずっと考え込んでいた。
授業中なのにぼーっとしてたら、隣の手塚が当てられてびっくりした。
『自分じゃなくて良かった……』
でも、手塚は分からなくて答えることが出来なかった。
なので、前の席の玉國が当てられた。
玉國はその問題を簡単に答えてしまった。
『…またか。玉國ばっかり。』
玉國は成績優秀で先生が出した問題をいつも簡単に答えてしまう。
私はそれが気に入らなかった。
だって、親は2人とも医者だし、それでお金持ち、家にはたくさんの本があって、物事に苦労したことがないらしい。
正直分かってる。
羨ましいだけだって。
でも、なぜか許せなかった。