片想いイズム

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無謀なことはしない主義。

石橋は叩いて渡るタイプだし、疑い深いし、くじ引きも絶対にハズレがないのしか引かない。

だからギャンブルをする人とか信じられないし、将来は安定した公務員の人と結婚したいとか思ってる。

それなのに……。



「騒がしいと思ったらまた園田のヤツ女に囲まれてんじゃん」

廊下の一番邪魔な場所にいる人だかり。今日もモテない男子たちが冷ややかな視線をその人物に送る。


そこにいるのは同じクラスの園田佑規(そのだゆうき)。

身長は１７８センチ。太陽に当たるとほんのりと茶系に色づく髪の毛に甘い顔立ち。そして反則的に耳に残る低音ボイス。

女子たちは「ねえ～」と猫なで声を出しながら、園田の隣を争ってベタベタと身体を触っている。

みんな綺麗な人ばかり。

内面が綺麗かどうかは分からないけれど、私なら園田を落とせるって自信満々な顔。

こうして校内にいる人気の女子を園田が独り占めしているから、わりと男子からは嫌われているというか、ひがまれてる。

でも園田はそんなの関係ないって顔で。

女子たちのスキンシップを拒むことなく優しく笑って。「ほらほら、喧嘩しないで」なんて超上から目線で。


あんな男のどこがいいんだろ。


今のは自分に向けて言った言葉。