片想いイズム


それを見てると本当にムカつく。

焦れったいというか歯がゆくでムズムズする。
だからわざと言った。聞き流されないようにいつもより声を張って。


『結婚するんだってね。中野先生』

すると園田の眉がピクリと上がる。


『中野?誰だっけ?』

『………』

今のはちょっとわざとらしすぎて笑っちゃう。


中野先生は養護教諭の先生。たしか年齢は27歳で私たちとは丁度10歳差。だけどまだ制服を着たら女子高生が通用するんじゃないかってぐらい可愛くて若くて綺麗で。

私が突き指した時も丁寧に包帯を巻いてくれて、その時にはまだ薬指にはなにもしてなかった。


『相手の人って医者らしいよ。大学時代から付き合ってるからけっこう長いらしい。誰かが写メ見せてもらったって騒いでたけどかなりのイケメンで芸能人では誰似って言ってたかな。ちょっと忘れちゃったけど』

なんて私は意地悪なんだろう。

だって勝手にペラペラと口が動く。


『中野先生に彼氏がいるって知らなかったの?
あんなに保健室に通ってたのに』
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